芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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TOPICS

群馬音楽センター

Photo No.24

撮影場所:群馬音楽センター

撮影日 :2013.1.1

撮影者 :Y.T.

高崎市内で生まれ育ったのであれば、必ず訪れることになるコンサートホールです。アントニン・レーモンドが設計し、昭和36年に竣工しました。

新年のご挨拶

新春を迎え、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。本年が、皆様にとって、充実した一年となることを祈念しております。

年始年末休業のお知らせ

平成24年12月29日(土)から平成25年1月6日(日)までの期間、年始年末休業とさせていただきます。ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。

投資法人法制の見直しの動きについて

投資信託・投資法人法制の見直しについては、金融審議会「投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ」によって検討及び審議が行われてきたところ、この度、「最終報告」(12月7日付)が取り纏められ、公表されました。

この「最終報告」では、投資法人法制の改善点が複数指摘されていますが、その中に「海外不動産取得促進のための過半議決権保有制限の見直し」があります。少し長くなりますが、「最終報告」の該当部分を紹介(引用)しますと、「最終報告」は、「現在、投資法人が、海外不動産を取得すること自体は禁止されていない。他方、事業 支配を制限する趣旨から、投資対象会社の株式の議決権の過半保有が投信法上禁止されている。そのため、外資による不動産投資につき規制がある国において事実上不動産の 取得が困難となっている例がある。こういった場合、投資法人制度の信頼性が確保されることを前提に、投資法人の性質及び事業支配を制限する趣旨などを踏まえつつ、実質 的に投資法人が海外不動産を取得することと同視できるような場合について、当該海外 不動産を取得するためのビークル(SPC)の株式に係る過半以上の議決権保有を認め ていくことが適当である。」と述べています。

海外不動産取得は投資家サイドも期待していると思われますので、この見直しは早急に実現して欲しいものです。

マンションの今とその先(その6)−被災マンション法の見直し−

法制審議会(被災関連借地借家・建物区分所有法制部会)では、大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物の取壊しを容易にする制度を整備する必要性を踏まえ、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(被災マンション法)を早急に見直すために審議してきたところ、10月26日に「中間取りまとめ」を取りまとめ、昨日からパブリックコメントに付されました。

この「中間とりまとめ」では、大規模な災害により区分所有建物が重大な被害を受けた場合、多数決により、建物を取り壊す旨の決議をすることができる「取壊し決議制度」や建物取り壊し後に建物の敷地を売却する旨の決議ができる「敷地売却決議制度」などが新設されることになりました。取壊し決議では、区分所有者及び議決権の各5分の4以上、敷地売却決議では、敷地共有者の持分の価格の5分の4以上の多数が必要とされています。

今回の見直しは、大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物が対象で、管理が不十分などの理由からスラム化したマンションなどは対象外です。しかし、今後、この新制度が上手く機能する場合には、区分所有法の見直しにつながり、マンションの今とその先(その1)から(その3)で触れた新しいマンションの終わり方の一里塚となる可能性があります。細部の制度設計はこれからのようですが、登記手続との関係で使い勝手が悪くならないような工夫が期待されます。

全国自治体向け条例データベース

平成24年10月29日、自治体向けに立法支援のための条例データベースシステムが無償で公開されました。通称、eLenと呼ばれるシステム(の一部)で国立大学法人名古屋大学大学院法学研究科附属法情報研究センターにて開発されたものです。eLenは、単なる条例のデータベースにとどまらず、自治体の例規データについて横断的な検索や類似例規を容易に探すことができ、(将来的には)「政策設計の初期の試行錯誤や住民の要望収集・整理の段階から、要綱案作成や例規執筆の段階までをWeb上でシームレスに支援することを目指」す、一歩進んだシステムのようです。各地の自治体において、法曹有資格者を職員として登用する動きが広がりつつありますが、人手の足りない自治体にとっては、このeLenは大変強力な助っ人になる可能性を秘めています。

ただeLenの利用対象者が自治体内の例規業務に携わる方とされているため(他に大学等の研究機関や町村会等の関連協力団体も利用しているとのことです)、民間人が使用できない点は実に残念です。

マンション管理組合における理事会の裁量権

多くのマンション管理組合では、理事会が存在し、理事会が中心となってマンション管理が行われております。今回は、この身近な理事会に関する裁判例を紹介します。

管理組合法人の事案ですが、総会で大規模修繕工事の決議がなされたものの、ある事情から、その後、大規模修繕工事の一部を保留する決定を理事会が行い、実際に保留された工事の実施を見合わせたところ、これを不服とする区分所有者Aが理事らに対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償などを請求したというものです。当時の事情としては、規約に反して専有部分(店舗)前の共用部分に室外機や看板を設置していた区分所有者Aが、工事に協力する条件としてその規約違反状態の容認を求めるなどしたために、その店舗前の共用部分のタイル張替工事を断念せざるを得なかったようです。

 この事案において、裁判所は、「本件修繕工事については、総会が実施することを議決したが、理事会は、すべてにおいてその執行(実施)が義務付けられたというものではなく、執行(実施)する権限が授与されたものというべきであり、理事会が本件修繕工事を実施するにあたっては、理事会に一定の裁量が認められているというべきである。」と説示した上で、本件では裁量の逸脱は認められないなどと判断して、区分所有者Aの請求を棄却しました(東京地裁H24.3.28 判例時報2157号50頁)。

実務的には、本件のような場合に限らず、理事会にある程度の裁量があることを前提にマンション管理が行われておりますが(そもそも理事会等に一定の裁量を認める内容の総会決議となっているケースも多いと想像されます)、判例時報の解説によれば、「マンション管理組合の理事会に裁量があることを明示した初めての裁判例」であるとのことです。なお、この判決では、理事会が「管理組合の執行機関である」と明言していますが、この点は議論の余地があるでしょう。

全国都市緑化フェアと緑被率

先週の話ですが、東京地裁から内幸町の駅に向かうために日比谷公園を歩いていると、全国都市緑化フェアが開催されていました。歩道の脇には、ガーデンコンテストの出典作品が展示され、その作品の一つが下の写真の庭です。

緑化フェアに触発されたわけではありませんが、仕事を終え、自宅に戻ると東京23区の緑被率が気になり、早速インターネットで検索すると、調査方法と調査年度が異なるため単純比較はできないものの、概ね西高東低の傾向にあることがわかりました。緑被率の高い区は、20%を超えますが、低い区では10%を下回っています。我が大田区では、(仮称)大田区みどりの条例(素案)に対する大田区区民意見公募手続(パブリックコメント)を実施したばかりで、区民からの「緑被率の目標値は?」という質問に対し、大田区は、「グリーンプランおおた(大田区緑の基本計画)では、基準の2009年の20.47%から2030年に緑被率21.5%を目標としています。区民1人が1平方メートル緑をつくれば、緑被率は1%上昇します。」と回答しています。それにしても、20年で1%UPはないだろう、もっとできるのではないか、なんとかして欲しい、と思うのは私一人ではないはずです。

名古屋市演劇練習館(旧稲葉地配水塔)

Photo No.23

撮影場所:名古屋市演劇練習館(旧稲葉地配水塔)

撮影日 :2012.9.18

撮影者 :Y.T.

5月に東山給水塔を訪ねた際に、「次はここ」と考えていました。実に堂々とした建物です。 ただ、竣工後僅か7年で配水塔としての役割を終え、廃屋同然の状態で放置されるなど(田中良英・岡田昌彰:「名古屋市演劇練習館(旧稲葉地配水塔)の景観・空間特性に関する研究」)、常に陽の当たる道を歩んできたわけではないようです。

風景の思想

表題に惹かれ、「風景の思想」という単行本(学芸出版社)を購入しました。帯紙に「日本人は風景をどのように見てきたのか。これから風景とどのように関わりあっていけばよいのか。哲学から土木まで、多様な専門家が、風景との関わりをいかに主体的に回復していくかを論じた意欲作」とあるように、景観、都市計画、建築学にとどまらず、美術史、生態学の専門家などが風景について論じています。建築・不動産に繋がる話が多く、いずれも興味深いものでしたが、最も印象に残ったのは、宇根豊氏の「農と風景」(副題:風景としての百姓仕事の発見)でした。

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