「幸せ」の響きと色合い
読売新聞の編集手帳というコラムに「あ」という「音」の響きについての話がありました。このコラムを読んで思い出したのが、ヒトラーの演説データを分析した「ヒトラー演説」(中公新書 著者:高田博行)という本です。この本の中では、ヒトラーがオペラ歌手から発声法の指導を受ける場面が描かれていますが、ヒトラーが「幸せ」という単語を、その単語にふさわしい響きと色合いで発音する練習を行うと、この「幸せ」という言葉が心に迫り来るように聞こえたとあります。物事に取り組む姿勢だけをとりあげれば、見習うべきものがあります。風邪をひいてかすれた声ですが、来年は皆様が幸せでありますように。
年末年始休業のお知らせ
平成27年12月29日(火)から平成28年1月5日(火)までの期間、年末年始休業とさせていただきます。ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
JR日立駅
Photo No.30
撮影場所:JR日立駅
撮影日 :2015.11.4
撮影者 :Y.T.
11月4日に初めてJR日立駅に降り立ちましたが、広々とした海をダイレクトに感じられる駅舎に驚きました。後日、日立市のWEBサイトを閲覧すると、この日立駅は、「第12回ブルネル賞(2014年)駅舎部門・優秀賞(Awards)」を受賞したことが紹介されていました。ブルネル賞の説明もあり、「世界各国の鉄道関連デザイナー及び建築家により構成されるワトフォード会議によって、イギリスのグレート・ウェスタン鉄道創立150周年にあたる1985年に設立された賞」であることが記載されていました。そこで、Watford GroupのWEBサイトに飛ぶと、英文のサイトながら、上信電鉄の上州富岡駅や土佐くろしお鉄道の中村駅の名前もありました。駅舎好きの方は必見?
開発許可処分の取消
インターネット上の情報を参考にする限り、鎌倉市所在の土地に関する開発許可をめぐり、開発許可処分取消請求訴訟が提起され、議会で質疑等がなされるなど、法的及び政治的にホットな状況になっているようですが、平成27年12月14日、この取消請求訴訟に関して、最高裁判決が下されました。
もっとも、この訴訟の争点は、「開発行為に関する工事が完了し、検査済証が交付された後においても、開発許可の取消しを求める訴えの利益があるか否か」という一般の方には馴染みの薄いテーマです。結論だけを紹介すれば、最高裁第一小法廷は、問題とされた開発区域が市街化調整区域内にあることを踏まえ、次のように説示し、訴えの利益を認めました。
「市街化調整区域内にある土地を開発区域とする開発行為ひいては当該開発行為に係る予定建築物等の建築等が制限されるべきであるとして開発許可の取消しを求める者は,当該開発行為に関する工事が完了し,当該工事の検査済証が交付された後においても,当該開発許可の取消しによって,その効力を前提とする上記予定建築物等の建築等が可能となるという法的効果を排除することができる。以上によれば,市街化調整区域内にある土地を開発区域とする開発許可に関する工事が完了し,当該工事の検査済証が交付された後においても,当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われないと解するのが相当である。」
今後、実体面の審理がなされるはずですので、将来興味深い内容の判決が下さるようであれば、その際に改めて紹介します。
埼玉会館
Photo No.29
撮影場所:埼玉会館
撮影日 :2015.3.25
撮影者 :Y.T.
埼玉会館は、前川國男氏が設計し、昭和41年4月18日に竣工しました。お気に入りの建物の一つで、時々、さいたま地方裁判所から駅に向かう途中に立ち寄りますが、いつも豊かな気持になります。ただ、その全体の姿を綺麗に収めて撮影できるスポットを見つけることができず、このことがとても残念です。
絶対製造工場
人工知能が人類の頭脳を超えるとされる2045年問題がより現実的な問題として語られるようになり、6月12日には、「総務省の有識者会議が、人工知能のトラブルによる事故が起きた際の責任を明確化する法整備などを提言する。」との読売新聞の報道がありました。反りが合わない上司よりもロボットに仕えたいという内容のサラリーマン川柳が登場しそうですが、そのような週末に、カレル・チャペックの「絶対製造工場」を読みました。カレル・チャペックは、ロボットという言葉の生みの親とされる作家・ジャーナリストです。この「絶対製造工場」では、「物」から膨大なエネルギーを取り出す画期的な機械がどの物質にも存在する「神」(絶対)を副産物として吐き出し始め、世界中が「神」で溢れ、混乱する様子が風刺的に描かれています。挿絵も好みで楽しく読み通すことができましたが、国内外の様々な場面・レベルで「絶対」の対立が満ちている現実にどう向き合うのかを考えさせられる本でした。
賦課金と瑕疵担保責任
少し前の話ですが、土地区画整理事業の施行地区内の土地を売買により取得された方が、売買後に土地区画整理組合から賦課金を課されたため損害を被ったと主張し、売主に対し、瑕疵担保責任に基づく賦課金相当額の損害賠償等を求めた事案において、その瑕疵の有無等に言及した最高裁判決が登場しました。
最高裁第二小法廷は、平成25年3月22日、「瑕疵あり」とした広島高裁判決を破棄し、「買主が売買後に土地区画整理組合から賦課金を課される一般的・抽象的可能性は,常に存在しているものである」として、これをもって「本件各土地が本件各売買において予定されていた品質・性能を欠いていたということはできず,本件各土地に民法570条にいう瑕疵があるということはできない」と判示しました。
この当時、類似の別事件に関与し、上記広島高裁判決の考え方や事実認定は是認できないとの主張を展開してきた中で、ほぼ同趣旨のこの最高裁判決が登場したことは素直に嬉しかったことを覚えています。
もっとも、今度は買主側の相談も受けてみたいとも考えています。
春宵十話
角川ソフィア文庫から日本が誇る天才的数学者岡潔氏の「春宵十話」と「春風夏雨」が復刊されました。「人の中心は情緒である」ことを基本に据えて、いずれも著者の考えが自由な形式で述べられています。本の題名でもある「春宵十話」は、50年以上前に毎日新聞社で連載され、多くの人に影響を与えたようです。述べられていることが正しいかどうかはともかく、確かに人を惹きつけます。著者は、学生に対し、集団として考え、また行動するようしつけることに批判的で、「数人寄ってディスカッションをしないと物を考えられなくなる。しかしそれでは少なくとも深いことは何一つわからないのだ。」と述べていますが、「一人で」かつ「深く」考えた人の言葉だからこそ人を惹きつけ、影響を与えることができるのでしょう。話が面白い人の特徴の一つです。