芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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開発許可処分の取消

インターネット上の情報を参考にする限り、鎌倉市所在の土地に関する開発許可をめぐり、開発許可処分取消請求訴訟が提起され、議会で質疑等がなされるなど、法的及び政治的にホットな状況になっているようですが、平成27年12月14日、この取消請求訴訟に関して、最高裁判決が下されました。

もっとも、この訴訟の争点は、「開発行為に関する工事が完了し、検査済証が交付された後においても、開発許可の取消しを求める訴えの利益があるか否か」という一般の方には馴染みの薄いテーマです。結論だけを紹介すれば、最高裁第一小法廷は、問題とされた開発区域が市街化調整区域内にあることを踏まえ、次のように説示し、訴えの利益を認めました。

 「市街化調整区域内にある土地を開発区域とする開発行為ひいては当該開発行為に係る予定建築物等の建築等が制限されるべきであるとして開発許可の取消しを求める者は,当該開発行為に関する工事が完了し,当該工事の検査済証が交付された後においても,当該開発許可の取消しによって,その効力を前提とする上記予定建築物等の建築等が可能となるという法的効果を排除することができる。以上によれば,市街化調整区域内にある土地を開発区域とする開発許可に関する工事が完了し,当該工事の検査済証が交付された後においても,当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われないと解するのが相当である。」

 今後、実体面の審理がなされるはずですので、将来興味深い内容の判決が下さるようであれば、その際に改めて紹介します。

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