年末年始休業のお知らせ
平成28年12月29日(木)から平成29年1月4日(水)までの期間、年末年始休業とさせていただきます。ご不便をおかけしますが、何卒ご理解いただきますようお願い申し上げます。
被災マンション法
「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(被災マンション法)は、法務省所管の法律ですが、先日、この法律について、法務省民事局の参事官による講演がありました。被災マンション法は、大規模な火災や震災等により、マンション等の区分所有建物の全部又は一部が滅失した場合における特別な措置を定めた法律であり、最近では、平成28年熊本地震による災害に適用されております。実務上判断に迷いそうな点について質問をしたかったのですが、丁寧な解説であったため、時間がおして、質問できなかったのが少々残念でした。なお、起きてほしくない事態ですが、区分所有建物が密集する首都圏において大規模な災害が発生し、同時に多数の区分所有建物が損傷した場合、この法律が期待どおり機能するかについては、正直申し上げて、相当厳しいとの感想を抱いております。
旧岡谷市役所庁舎
一括下請負の禁止について
国土交通省は、一括下請負の禁止にかかる判断基準をより明確にするために、平成28年10月14日、「一括下請負の禁止について」(平成28年10月14日付け国土建第275号)を定め、建設業団体等に通知しました。ただ、判断基準がより明確になったといっても、種々の事情に鑑みると、事業者にとっては今後も悩ましい問題であり続けるものと思われます。
ちなみに、一括下請負の禁止は、元請負人だけではなく、下請負人にも及びますが、その一方で、伝統的な理解によれば、この禁止に違反した下請負契約自体は当然に無効となるものではないとも解されています。そうすると、例えば、一括下請負の禁止に違反するかもしれない下請負契約を締結してしまった場合、その下請負人は、その後、どのように対処すべきなのでしょうか。契約内容や個別の事情によりますが、これもまた悩ましい問題となります。
「言葉の力」と「言葉の遊び」
ヴァイツゼッカーは、ドイツ統一時の大統領で、その演説集が「言葉の力 ヴァイツゼッカー演説集」として岩波現代文庫から刊行されています。11編の演説によって構成されていますが、個人的な感想としては、理想に重きをおいた演説内容との印象です。例えば、五月八日演説(「荒れ野の四十年」)では悲しみに満ちた過去を踏まえ、「かつて起ったことへの責任は若い人たちにはありません。しかし、歴史のなかでそうした出来事から生じてきたことに対しては責任があります」と語りますが、当時のコール首相は、「後から生まれた者の恩恵」による免罪を説いていました。
演説内容は、人によって評価は大きく異なるでしょうが、自分の考えを自分の言葉で語ろうという姿勢が人の心に働きかける響きを生み出しているのかもしれません。共感した点は、ある誕生会の演説(「パトリオティズムを考える」)における一節で、理想論に走らず、「根なし草の世界市民ではヒューマンな態度に説得力がありません。寛容が花を咲かせるのは、根を失って普遍的な融合をしている場ではなく、自らの立場を意識している所であります。」という部分です。
このような「言葉の力」に関する本を読んでいた時期に、ある人に誘われて、ダジャレ教室に参加しました。主催者の説明によれば、「言葉の遊び」は、小学校の国語の教科書にも載っているとのことです。これはこれで楽しかったのですが、頭が疲れた一日でした。
照明学会
国立国会図書館において、照明学会の講演論文集を調べていたところ、探していた資料のほかに、多彩なテーマで様々な研究成果が発表されていました。例えば、家具の色彩と空間の明るさの感じ方との関係や音楽の印象を高めるための照明パターンに関する考察などです。好奇心がくすぐられる論文集でした。
不動産取引とグレーゾーン解消制度
グレーゾーン解消制度とは、産業競争力強化法に基づくもので、現行の規制の適用範囲が不明確な場合においても、事業者が安心して新分野への進出等に取り組めるよう、具体的な事業計画に即して、事前に規制の適用の有無を確認できる制度です。経済産業省から、昨月、今月と不動産売買に関連する情報が公表されましたので、ご紹介します。
まず平成28年6月15日付「News Release」では、顧客に不動産業者の会社情報を提供し、顧客と不動産業者が希望する場合には両者の面談に同席し、売買契約が成立した場合に不動産業者から顧客情報提供の手数料を収受する行為が、宅地建物取引業法第二条第二号に規定する「宅地建物取引業」に該当するか否という照会につき、経済産業省と国土交通省による検討の結果、「該当しない」との回答がなされたことが紹介されています。 照会のあった事業は、物件の説明、契約成立に向けた取引条件の交渉・調整等の行為は、顧客と不動産業者間にて直接行い、事業者は一切関与しないものとされておりますが、照会のあり方に苦労(工夫)の跡が見て取れる事例でした。
続いて平成28年7月4日付「News Release」では、中古住宅の売買に際し、住宅の点検を行う事業者又は不動産仲介事業者が、予め金銭を徴収して住宅設備機器の保守及び故障時の修理を行う事業について、保険業法に規定する「保険業」に該当するか否かという照会につき、「該当する」との回答がなされたことが紹介されています。 関係省庁による検討の結果、照会の事業においては、①保守・修理契約の主体が住宅設備機器の瑕疵について民事上の責任を負う製造販売事業者ではないこと、 ②本事業のような仕組みは保険取引と異なるものと認知されているとは言えないこと等から、「保険業」に該当するとの結論に至ったようです。 この照会は、住宅の点検事業者が行っていますが、不動産売買に付随・関連するサービスの実施の可否については、不動産業者の関心が高く、この回答内容を最も残念に思っているのは、不動産業者であると推測しています。
根付
自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン
大規模な自然災害から生活を再建するためには、法的倒産手続によらずに、住宅ローンなどの債務の整理が必要であるところ、昨年12月に、そのような債務整理を公正かつ円滑に行う準則として、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」が策定・公表されました。
一定の要件はあるものの、平成27年9月2日以降に災害救助法の適用を受けた自然災害によるケースからこのガイドラインによる住宅ローンなどの免除・減免の申し出ができるとされており、全国銀行協会のWEBサイトなどには、Q&Aもアップされています。出来て間もないガイドラインですが、平成28年(2016年)熊本地震のケースにおいて、このガイドラインの積極的な活用が想定されます。
平成28年(2016年)熊本地震
この度の平成28年(2016年)熊本地震によって被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。被災された方々が普段の生活に一日でも早く戻れることを切に願います。