
新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法
平成28年9月に公表されました「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会報告書」では、調査結果の報告に加え、浮き彫りになった課題についてどう対応すべきかの方向性が示されました。例えば、新耐震基準導入以降の木造建築物の中でも、(柱とはり等の)接合部の仕様等が明確化された2000年以降の倒壊率が低いことを踏まえ、明確化以前のもので、接合部の仕様等が現行の仕様等に適合していない木造建築物については、被害の抑制に向けた取り組みが必要であるとの方向性を打ち出していました。そして、国土交通省は、この報告内容を受けて、リフォーム等の機会において既存建物の接合部の状況を確認することを推奨することにし、一般財団法人日本建築防災協会に対し、効率的な確認方法の検討を依頼していたところ、平成29年5月16日、同協会によって、「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法(新耐震木造住宅検証法)」が公開されました。
この検証法の対象は、在来軸組構法の木造住宅(基礎がコンクリート造であるもの)で、1981年6月1日から2000年5月31日までに建築された、平家建てまたは2階建てのものに限られますが、リフォーム業者としては、接合部の状況次第では、(これまで以上に)適切な営業と提案によりビジネスを広げることができるかもしれません。「適切な」という点が重要ですが。
浦賀ドック
カフカ短篇集
カフカ短篇集(岩波文庫)は、「判決」や「流刑地にて」などの法律と結びつく題名の短編が収められていることもあって、読まなければ、と思っていた本の一つです。作品を理解しようという身の丈に合わない試みは初めから放棄し、単純にストーリーを追うだけでしたが、興味深く読み切ることができました。その面白さは、比喩的に言えば、音がなくなる又は歪むような感覚にあるように思われ、ワクワク、ハラハラ、ドキドキなどのオノマトペでは上手く伝えることができない、というのが個人的な感想です。
無電柱化
4月5日のTOPICS「成城の桜」の中で、電柱・電線がなければ、と書き込みましたが、国は無電柱化を推進しており、国土交通省の「無電柱化推進のあり方検討委員会」にて、現在、無電柱化の推進の方向性について審議が行われています。公開されている議事録に目をとおしましたが、現状の法制度のもとでは、無電柱化を実施するにあたり、住宅地が最も意見集約の難しいエリアになるように思えます。人の欲に訴えて、無電柱化を実現したエリアの地域住民に「大胆な」税法上の優遇措置(固定資産税の一部免除という限定的なものではなく)を受けられるという仕組みを導入すれば、大きな変化が生まれるかもしれませんが、現実離れした話です。電柱・電線のない桜並木を歩くにはもう少し時間がかかりそうです。
建設業法令遵守ガイドラインの改定
建設企業における元請負人と下請負人の取引のルールとして「建設業法令遵守ガイドライン−元請人と下請負人の関係に係る留意点−」が策定されていたところ、国土交通省は、平成29年3月29日、下請代金の支払手段にかかる項目を追加するなどした最新のガイドラインを公表しました。この最新のガイドラインでは、立入検査で多くみられる違反行為事例が追加されていますので、目を通しておくと、「うっかり違反」が避けられ又は自社の業務改善に役立ちます。
芝消防署
生の短さについて
今年も四分の一が過ぎてしまいました。一週間、一ヶ月、一年という時の単位が毎年短くなるかのように時間が過ぎ去っていきます。そのような中で、セネカの「生の短さについて」(岩波文庫 大西英文訳)を読みました。「いいね」と思う人も多いかもしれませんが、「どうかな」と思う人も相当いるだろうなという内容です。
この作品の中には、弁護人や裁判官について言及している箇所が幾つかありますが、次の一節は強烈です。
「見苦しきは、高齢になってなお、自分とは縁もゆかりもない訴訟の当事者のために裁判で弁護に立ち、取り囲む無知な傍聴者らの賛同を得ようと躍起になっているうちに息を引き取る者である。」
残念ながら見苦しい人生に突き進んでいます。
株主リスト
平成28年10月1日以降の株式会社・投資法人・特定目的会社の登記の申請に当たっては、ケースによって、「株主リスト」が添付書類として必要とされるようになったところ、法務省は、昨日(平成29年1月30日)、その記載方法などを説明した「株主リストに関するよくあるご質問」をウェブサイトにて公表しました。株主リストを準備する事務方にとっては参考となる情報が掲載されていますのでご案内する次第です。もっとも、どのように記載するのかという点も大事ですが、「株主リスト」という新たな書類の登場によって、これまでの会社法実務が影響を受けるのか又は受けないのかという点により強い関心があります。