建築法体系勉強会とシリーズ日本新生
本日、放映されましたNHKスペシャル「シリーズ日本再生」では、「インフラ危機」がテーマでした。高度成長期に整備されたインフラが一斉に老朽化し、その維持・更新が大きな問題になっています。維持・更新するためには莫大な資金が必要ですので、その財源が確保できなければ、崩壊するのを待つか、これまでとは別の道を探すなどの工夫するほかありません。
このような状況は、住宅という分野でも同様です。国土交通省が設置しました「建築法体系勉強会」が、先日、検討結果をとりまとめましたが、その中で「建築法体系に係る現状と課題」として「不良化した建築ストックへの対応」について言及がありました。簡単に紹介しますと、「住宅の空き家率が13%に達する中、維持保全が適切に行われずに質が低下し、結果として、保安上危険、あるいは衛生上有害な状態に至るケースが発生しており、保安上危険である等の理由で行政庁から必要な措置を講じるよう勧告・命令等を受ける案件は年間10〜30件程度に上っている。建築ストックの成熟化が進行する中、今後はそのような不良化した建築ストックの解消を強力に推進する必要があると指摘された。」と述べられています。
NHKスペシャルの中でも議論されましたが、私達に与えられた時間はそうはない、ということです。
NOF神戸海岸ビル(旧海岸ビル)&商船三井ビルディング
マンションの今とその先(その3)
現在、国土交通省は、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を開催し、マンションの管理に係る制度のあり方について検討を行っています(本日、第3回検討会が開催されているはずです)。第2回検討会までの資料をざっと読む限り、①区分所有者が管理に関心を持ち、主体的に対応することや②専門家を活用することで管理不全に陥らないようにしたいと考えている様子です。また、専門家を有効に活用するためには、利益相反や不正行為を防ぐためのモニタリング・システムが必要であることから、その仕組みをどう構築するかについても、株式会社や協同組合などの他の法制度を参考に併せて検討が行われています。新しい制度の導入を検討するに際しては、その制度が必要とする人材を現実に確保できるのかという視点は重要です。理念・理想だけを先行させるのではなく、現実を踏まえた議論がなされ、ベターな管理制度へと進化して欲しいものです。
マンションは、個人の居住用財産であるとともに、社会的資産であると位置付けられていますが(「マンションの管理の適正化に関する指針」等参照)、これはマンションがスラム化した際に周囲の住環境に与えるインパクトが戸建住宅の比ではないなどの認識に基づいています。人口減少社会では、空き家条例ならぬ、空きマンション条例が登場する事態も絵空事ではありません。そうならないように努力することは勿論大切なことですが、残念な状態に陥ったマンションに対しては、退場する(退場できる)道を用意する、という発想があってもよいでしょう。マンションは魅力ある住居形態です。ただ、魅力ある住宅であり続けるためには、その終わり方を整える必要があります。
埼玉りそな銀行川越支店(旧八十五銀行本店本館)
Photo No.15
撮影場所:埼玉りそな銀行川越支店(旧八十五銀行本店本館)
撮影日 :2012.3.6
撮影者 :Y.T.

蔵造り町屋が多く残る川越市川越伝統的建造物群保存地区内にあって、街並みにアクセントをつけている大正時代の近代洋風建築です。暖かい陽射しを浴び、いまもなお現役です。
マンション駐車場の外部使用に関する国税庁の回答
国土交通省は、マンション駐車場の外部使用(区分所有者以外の者の使用)の課税関係について相談が寄せられていることから、この問題を整理するために、国税庁に照会を行いました。照会の方法は、課税関係が次の3パターンに分かれるようなモデルケースを設定し、各モデルケースに対する法人税の課税関係を照会する形をとっており、照会内容及びその添付資料自体が頭の整理に役立ちます。
【課税関係パターン】
・駐車場の使用については、外部使用部分だけでなく、区分所有者の使用も含め、そのすべてが収益事業に該当する。
・駐車場の使用については、外部使用部分のみが収益事業に該当する。
・駐車場の使用については、区分所有者への使用のみならず、外部使用部分も含め、そのすべてが収益事業に該当しない。
この照会に対し、国税庁は平成24年2月13日に回答を行いましたが、国土交通省の見解については「貴見のとおりで差し支えありません」と述べています(ただ「ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります」などの留保付です)。
詳細が知りたい方は、国税庁のWebサイトまで。
都市で暮らすということ
東日本大震災をきっかけに、地盤の良し悪しなどというレベルの問題ではなく、どうしてこの街に住んでいるのか、どこの街に住むのか、ということについて思い巡らした方も多いのではないでしょうか。都市に住み、土地に縛られることなく、どこでも仕事や生活ができる方は、そのような我が身をありがたく思ったかもしれません。ただ、その一方で「その場所」と強く結び付けられた方の「その場所」に対する強烈な想いを羨ましく感じたこともあったはずです。
都市での生活者の多くは、通勤や子供の通学の利便性などを考慮し、また、ちょっとした偶然にも左右されつつ(偶々その街で気に入った不動産が売りに出されていた又は賃貸物件が募集されていたなどの事情)、経済的な制約(ローンや家賃の問題)と折り合いをつけながら、今の街を選択し、そこで暮らしているように思います。もっとも、仕事から退く時は必ず訪れ、子供も成長しますので、今暮らしている街と自分とを結び付けてきた利便性の持つ重みはいずれ変わります。従って、利便性以外の点で街との繋がりを感じることができないと「根無し草」であるかのような感覚に襲われることになりかねません。インターネット上での繋がりが地域との結びつきに代わることが可能かどうか分からない中、都市で心安らかに最後まで暮らしきるには相当の努力・覚悟が必要であると感じています。
マンションの今とその先(その2)
現在のマンションは、新築、分譲、適切な管理、建て替え、そして再び適切な管理・・・というサイクルを辿ることが予定され、このサイクルを守るために、管理体制の改善・強化、建て替えの促進策等が講じられてきました。しかし、昨日のTOPICSで触れたように、(事実上)建て替えという出口しかない制度はいささか窮屈です。建て替えに加え、例えば、(特別)多数決により区分所有関係を解消し、換価・分配するという別の出口が与えられても良いように思えます。現行法でも区分所有関係の解消は可能ですが、全員の同意が必要な点がボトル・ネックとなっています。
マンションの今とその先(その1)
2月10日付の読売新聞(朝刊)は、行政刷新会議の「規制・制度改革に関する分科会」が、規制改革検討案に「老朽化した団地の一括建て替えに必要な区分所有法の要件見直しなどを盛り込んだ。」と報じました。老朽化が進んだマンションが放置される場合、そこに住む方の安全・安心の問題だけではなく、その周辺に与える影響も懸念されるため、行政刷新会議が打ち出した方向性は概ね理解できます。ただ、今後のマンションの在り方まで考えた場合、建て替えの促進だけではなく、マンションの終わり方として(事実上)建て替えしかないという窮屈な制度を本格的に見直す時期に来ているのではないでしょうか。


