芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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マンションの今とその先(その3)

現在、国土交通省は、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を開催し、マンションの管理に係る制度のあり方について検討を行っています(本日、第3回検討会が開催されているはずです)。第2回検討会までの資料をざっと読む限り、①区分所有者が管理に関心を持ち、主体的に対応することや②専門家を活用することで管理不全に陥らないようにしたいと考えている様子です。また、専門家を有効に活用するためには、利益相反や不正行為を防ぐためのモニタリング・システムが必要であることから、その仕組みをどう構築するかについても、株式会社や協同組合などの他の法制度を参考に併せて検討が行われています。新しい制度の導入を検討するに際しては、その制度が必要とする人材を現実に確保できるのかという視点は重要です。理念・理想だけを先行させるのではなく、現実を踏まえた議論がなされ、ベターな管理制度へと進化して欲しいものです。

マンションは、個人の居住用財産であるとともに、社会的資産であると位置付けられていますが(「マンションの管理の適正化に関する指針」等参照)、これはマンションがスラム化した際に周囲の住環境に与えるインパクトが戸建住宅の比ではないなどの認識に基づいています。人口減少社会では、空き家条例ならぬ、空きマンション条例が登場する事態も絵空事ではありません。そうならないように努力することは勿論大切なことですが、残念な状態に陥ったマンションに対しては、退場する(退場できる)道を用意する、という発想があってもよいでしょう。マンションは魅力ある住居形態です。ただ、魅力ある住宅であり続けるためには、その終わり方を整える必要があります。

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