前入居者の使用方法と心理的瑕疵
昨年、中古マンション売買の紛争事例で、マンションが前入居者(賃借人)によって「相当長期間にわたり性風俗特殊営業に使用されていたことは、民法五七〇条にいう瑕疵に当たるというべきである。」とし、売主(区分所有者)の瑕疵担保責任と不動産仲介業者の説明義務違反を認める内容の判決がありました(平成23年3月8日福岡高裁判決 判例時報2126号70頁)。
ちなみに、この前入居者の使用方法については、マンション管理組合と前入居者・区分所有者間での別の訴訟(第一審)において、前入居者が「実質的には性風俗特殊営業を営んでいたこと」が認定されております。判決内容の当否については立ち入りませんが、実務の上では、関係者の(噂)話ではなく、先行判決の事実認定という裏付けが存在した点が重要です。
亀甲竹
とあるところで亀甲竹(自生していたものを取り寄せたとのことです)の飾り付けを見ることができました。亀甲竹とは、孟宗竹の突然変異で、亀の甲羅のように節が斜めになった竹のことです。珍重されているそうで、年始から縁起が良いのかもしれません。
連棟式住戸の収去について
長年、マンションに関する相談に携わっていますと、関係者が悩み、判断に迷う問題の傾向が見えてきます。例えば、共用部分の範囲(実務上判断が難しいケースは珍しくありません)や借地権付マンションにおける地代未払者への対応などは、繰り返し相談がある事項です。いずれも容易に答えを出せない事実上又は法律上の問題を抱えていますが、平成24年1月1日号の判例時報で、この2つの点に「関連した」裁判例が紹介されました(大阪高判H23.3.30 判例時報2130号13頁)。強制執行手続により、連棟式一棟建物における特定の住戸部分を収去し、土地明渡を実現しようとしたところ、その当否が争われた事案です。原審の大阪地裁(大阪地判H22.11.4 判例時報2104号95頁)を含め、理由付けにおいて、裁判所の苦労がしのばれる判決内容となっております。
新年の挨拶
久米正雄記念館(旧久米正雄邸)
マンションにおける高圧電力の活用
本日の日本経済新聞(朝刊)に、「東京都内で不動産各社が相次いで、電気代の安さを売り物にしたマンションの開発に乗り出している。」と報じ、その仕組みとして「家庭向けの低圧電力に比べ約2割安い高圧電力を変圧し、各世帯に供給」などと解説しております。この種のビジネスに関わったことがありますが、当時、普段の生活の中で当然と思うところに改善可能性を感じ取り、ビジネスチャンスを見出そうとする関係者の姿勢が印象的でした。なお、法律は、分かり易く整理され、読み手に優しくあって欲しいものですが、残念ながら電気事業法はこの点において改善の要ありです。
根津美術館
空き家条例
11月7日の読売新聞(朝刊)に「空き家条例」が比較的大きく取り上げられました。年々空き家が増加しており、自治体が、管理不十分な空き家の対策に取り組まざるを得ない状況にあるようです。この記事を読み、「都市縮小の時代」(角川oneテーマ21新書 著者:矢作弘氏)の中で見た「賢く小さくなる」というフレーズを思い出しました。縮む現実はそこかしこにあります。縮みきる前に(発想を転換し)賢くなることができるのでしょうか。