芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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TOPICS

平和茶会(金閣寺)

本日、鹿苑寺(金閣寺)にて開催されています「平和茶会」に参加しました。法要、薄茶、濃茶、点心と続き、あっという間でしたが、有意義な時間を過ごすことができました。昨年同様、参加費の一部とオークションの売上は、東日本大震災の復興や難民の医療支援のために寄付されます。

被災地の復興と都市デザイン

国土交通省から、平成24年5月18日、集団移転促進事業計画作成マニュアルが発表され、一歩一歩ですが復興に向けた環境整備が進められているように見えます。ところで、被災地の復興に関しては、既に「東日本大震災の被災地における市街地整備事業の運用について(ガイダンス)」が国土交通省から公表され、その中で「復興まちづくりにおける景観・都市空間形成の基本的考え方」(中間とりまとめ)が示されています。この基本的考え方は、「より住みやすく親しみやすい故郷として復興させるために」、今後の復興まちづくりにあたっての都市デザイン面からの配慮事項をとりまとめたもので、興味深い内容です。現実のまちづくりは、厳しい状況が予想されますが、そこに記された提言が一つでも多く実現されることを願ってやみません。

東山給水塔

Photo No.18

撮影場所:東山給水塔

撮影日 :2012.5.18

撮影者 :Y.T.

現在の塔の頭は、キノコを連想させる赤いとんがり屋根ですが、かつては(Webサイト上にアップされている写真によれば)シルクハット風でした。頭の形は変わりましたが、どちらもちょっと不思議で非日常的な雰囲気があります。このようなランドマークのある街で生まれ、子供時代を過ごせた方は実に幸運です。

マンションの今とその先(その4)

国土交通省が設置した「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」の第4回検討会までの資料及び第2回検討会までの議事録に目を通しました。検討会での議論を追うなかで、改めて、「素人(平均的な区分所有者)でもマンションの管理ができるのか」という問いに結構真剣に向き合うことになりました。「できる」ということであれば、外部専門家の関与は例外的となり、「できない(又は困難)」ということであれば、原則外部専門家に関与させるべきだ、という流れになります。勿論、マンションの規模や特別な出来事・状況(大規模修繕工事や内部対立の有無)等を踏まえ、個別・具体的に検討することは必要で、一般論として「素人でもマンションの管理ができるのか」について答えよ、というのはやや乱暴な質問ではありますが、あれやこれやと考える中で、問題の所在が整理できますので、一度自分の頭で考えることをお勧めします。「いままで」と「これから」とでは事情が異なり、結論も異なるという意見もあるかもしれません。皆さんは、どのようなご意見でしょうか。

違法建築と請負契約

周到な準備のもと、建築基準法等の法令の規定に適合しない建物(違法建物)を建築しようとした悪質な違法建築事案において、その請負契約の有効性に言及した最高裁判例が登場しました。最高裁第二小法廷は、平成23年12月16日、違法建物の建築が著しく反社会性の強い行為である場合、その建築を目的とする請負契約が、公序良俗に反し、無効であると判断しました(判例時報2139号3頁)。なお、この判決では、違法建築部分を是正する内容の追加的工事(の契約)については、反社会性の強い行為とは言えないとして、その部分の請負代金を請求できる可能性を認めるなど、結論の妥当性を考慮しつつ、無効となる範囲と有効となる範囲の線引きを丁寧に行おうとしています。この種の紛争(要は、悪い者同士の争いです)を処理するに際しては、最も悪い当事者が得することがないようにするとの視点は重要です。

地域再生

帯紙の「消滅しそうな集落などいったいどこにあるのか?」という刺激的なフレーズに惹かれ、「限界集落の真実」という新書(ちくま新書 著者:山下祐介氏)を購入しました。賛同できない点が少なからずありますが、著者の熱い想いが伝わり、かえって切ない気持になりました。過疎地域に関連する記述が多い中で、「要するに、本当に地域再生が難しいのは大都市圏においてなのだ。」という指摘が印象に残りました。

武庫川女子大学甲子園会館(旧甲子園ホテル)

Photo No.17

撮影場所:武庫川女子大学甲子園会館(旧甲子園ホテル)

撮影日 :2012.3.24

撮影者 :Y.T.

武庫川女子大学のWebサイトでは、「かつて阪神間に、西の帝国ホテルと呼ばれた壮麗なる高級リゾートがありました。」と甲子園会館の歴史を紹介していますが、確かに雰囲気のある建物で、もっと見てみたいという気持になります。雨の中、わざわざ甲子園から歩いた甲斐がありました。

建築法体系勉強会とシリーズ日本新生

本日、放映されましたNHKスペシャル「シリーズ日本再生」では、「インフラ危機」がテーマでした。高度成長期に整備されたインフラが一斉に老朽化し、その維持・更新が大きな問題になっています。維持・更新するためには莫大な資金が必要ですので、その財源が確保できなければ、崩壊するのを待つか、これまでとは別の道を探すなどの工夫するほかありません。

このような状況は、住宅という分野でも同様です。国土交通省が設置しました「建築法体系勉強会」が、先日、検討結果をとりまとめましたが、その中で「建築法体系に係る現状と課題」として「不良化した建築ストックへの対応」について言及がありました。簡単に紹介しますと、「住宅の空き家率が13%に達する中、維持保全が適切に行われずに質が低下し、結果として、保安上危険、あるいは衛生上有害な状態に至るケースが発生しており、保安上危険である等の理由で行政庁から必要な措置を講じるよう勧告・命令等を受ける案件は年間10〜30件程度に上っている。建築ストックの成熟化が進行する中、今後はそのような不良化した建築ストックの解消を強力に推進する必要があると指摘された。」と述べられています。

NHKスペシャルの中でも議論されましたが、私達に与えられた時間はそうはない、ということです。

NOF神戸海岸ビル(旧海岸ビル)&商船三井ビルディング

Photo No.16

撮影場所:NOF神戸海岸ビル(旧海岸ビル)&商船三井ビルディング

撮影日 :2012.3.12

撮影者 :Y.T

3月にしては寒い一日でした。新幹線の窓から見える関ヶ原の景色は、雪が舞い、真冬のようでした。神戸での仕事を終え、薄曇りのメリケン波止場前の横断歩道橋からの1枚です。

マンションの今とその先(その3)

現在、国土交通省は、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を開催し、マンションの管理に係る制度のあり方について検討を行っています(本日、第3回検討会が開催されているはずです)。第2回検討会までの資料をざっと読む限り、①区分所有者が管理に関心を持ち、主体的に対応することや②専門家を活用することで管理不全に陥らないようにしたいと考えている様子です。また、専門家を有効に活用するためには、利益相反や不正行為を防ぐためのモニタリング・システムが必要であることから、その仕組みをどう構築するかについても、株式会社や協同組合などの他の法制度を参考に併せて検討が行われています。新しい制度の導入を検討するに際しては、その制度が必要とする人材を現実に確保できるのかという視点は重要です。理念・理想だけを先行させるのではなく、現実を踏まえた議論がなされ、ベターな管理制度へと進化して欲しいものです。

マンションは、個人の居住用財産であるとともに、社会的資産であると位置付けられていますが(「マンションの管理の適正化に関する指針」等参照)、これはマンションがスラム化した際に周囲の住環境に与えるインパクトが戸建住宅の比ではないなどの認識に基づいています。人口減少社会では、空き家条例ならぬ、空きマンション条例が登場する事態も絵空事ではありません。そうならないように努力することは勿論大切なことですが、残念な状態に陥ったマンションに対しては、退場する(退場できる)道を用意する、という発想があってもよいでしょう。マンションは魅力ある住居形態です。ただ、魅力ある住宅であり続けるためには、その終わり方を整える必要があります。

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