芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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マンションの今とその先(その6)−被災マンション法の見直し−

法制審議会(被災関連借地借家・建物区分所有法制部会)では、大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物の取壊しを容易にする制度を整備する必要性を踏まえ、「被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法」(被災マンション法)を早急に見直すために審議してきたところ、10月26日に「中間取りまとめ」を取りまとめ、昨日からパブリックコメントに付されました。

この「中間とりまとめ」では、大規模な災害により区分所有建物が重大な被害を受けた場合、多数決により、建物を取り壊す旨の決議をすることができる「取壊し決議制度」や建物取り壊し後に建物の敷地を売却する旨の決議ができる「敷地売却決議制度」などが新設されることになりました。取壊し決議では、区分所有者及び議決権の各5分の4以上、敷地売却決議では、敷地共有者の持分の価格の5分の4以上の多数が必要とされています。

今回の見直しは、大規模な災害により重大な被害を受けた区分所有建物が対象で、管理が不十分などの理由からスラム化したマンションなどは対象外です。しかし、今後、この新制度が上手く機能する場合には、区分所有法の見直しにつながり、マンションの今とその先(その1)から(その3)で触れた新しいマンションの終わり方の一里塚となる可能性があります。細部の制度設計はこれからのようですが、登記手続との関係で使い勝手が悪くならないような工夫が期待されます。

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