芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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都市計画(情報)図の誤記

前回のTopicsでは、総合設計制度に関連して、公開空地の有効係数をめぐる裁判例を紹介しましたが、今回も、墨田区が作成頒布した都市計画を示す図面に誤記があったという行政がらみの事件についてお話をします。

お役所が作成頒布した図面に誤りがあるとは少々驚きですが、実際にあった話です。誤記の具体的な内容は、本来「第三種高度地区」と表記すべきところを「二二m高度地区」と誤って表記したというものです。 ちなみに、「都市計画は、国土交通省令で定めるところにより、総括図、計画図及び計画書によつて表示するものとする。」とされていますが(都市計画法14条1項)、この事案では、この計画図(本図)に誤りがあったわけではなく、計画図(本図)に基づいて、広く一般市民等に対し情報提供するために作成された図面に誤記があったということのようです 。そしてこの誤記が原因で、(当然のことですが) 誤った情報に基づきマンションを建設しようとした不動産業者との間で紛争が生じ、裁判沙汰となりました(東京地裁H24.2.8 判例時報2165号87頁)。裁判の主な争点は、不動産業者が主張する損害がどこまで認められるのか、という点にあったようですが、そのような法的な話よりも、ヒューマンエラーはどこにでも起こりうるということが強く印象に残る事件です。

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