芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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CATEGORY :仕事の話

震災特例法による印紙税の非課税措置に関するQ&A

東日本大震災の被災者の方を対象に、「消費貸借に関する契約書」(金銭借用証書等)、「不動産の譲渡に関する契約書」及び「建設工事の請負に関する契約書」について(但し、一定の要件があります)、印紙税が非課税とされる税制上の特例措置が設けられております。具体的なケースでは、この特例措置を受けることができるかどうか迷う場面も予想されますが、平成23年6月6日、国税庁から「震災特例法による印紙税の非課税措置に関するQ&A」が公表されましたので、参考にすべき情報の一つとして紹介する次第です。

当面の株主総会の運営に関するガイドライン

平成23年4月28日、経済産業省から「当面の株主総会の運営に関するガイドライン」が公表されました。東北地方太平洋沖地震により引き起こされた東日本大震災の影響が強く残る中で、適切に株主総会を行うべく、会社法学者、弁護士、株主総会実務担当者及び機関投資家等の関係者が検討し、その検討結果を取り纏めたものです。①招集通知等の早期ウェブ掲載、②電子化による株主向け印刷物の削減、③招集通知発送後の招集事項の変更、④定時株主総会の運営、⑤定時株主総会の開催時期、という5つのテーマを掲げ、そこで問題となりうるケースについて推奨する行動指針を示しています。詳しくは経済産業省のWebサイトをご参照下さい。

マンションの修繕積立金に関するガイドライン

平成23年4月18日、国土交通省から「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が公表されました。「新築マンションの購入予定者に対し、修繕積立金に関する基本的な知識や修繕積立金の額の目安を示(す)」もので、分かり易い内容で実践的です。但し、「分譲事業者から提示された購入予定のマンションの修繕積立金の額が、この幅に収まっていないからといって、その水準が直ちに不適切であると判断されることになるわけでは(ない)」という点には留意する必要があります。

震災に関連する法務省からのお知らせ

東北地方太平洋沖地震に関連して法務省から「お知らせ」がありました。主なものは次のとおりです(詳しくは法務省のWebサイトをご参照下さい)。

・  定時株主総会の開催時期について

東北地方太平洋沖地震の影響により、当初予定した時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じている場合には、そのような状況が解消され、開催が可能となった時点で定時株主総会を開催することとすれば、会社法第296条第1項に違反することにはならないとのこと。

・  滅失した戸籍の再製について

震災により戸籍の正本が滅失した市町村においても、管轄法務局において,戸籍の副本や届書が保存されているため、戸籍の再製が可能であること。また戸籍が再製されるまで、戸籍の副本(電子データ)に基づき、「戸籍の副本に係る証明書」(行政証明)を発行することができること。

・  災害復旧における境界標識の保存について

復旧作業に際して、土地の境界を示す境界標(コンクリート杭、金属鋲等)が埋設されていないかどうかに注意し、堀、石垣の基礎部分等の境界を特定するために役立ものを可能な限り保存するよう留意して欲しいとのこと。

敷引特約

敷引特約が消費者契約法10条により無効であるか否かについて、昨日(平成23年3月24日)、最高裁から興味深い判断が下されました。最高裁第一小法廷は、「消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となると解するのが相当である。」と説示した上で、個別の事件については、「本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず,本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない。」との結論を導きました。大雑把にまとめると、敷引金の額が高額に過ぎなければ、敷引特約は有効ということです。

この判決の評価と他の裁判(例えば更新料に関する訴訟)との関係(影響)等について、考えるところはありますが、ここでは判決内容の簡潔な紹介にとどめることと致します。

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