芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

本文へジャンプ
ARCHIVE :2011年5月

理性の限界

極めて不完全な人間であることを自認する私は、「弱さ」に関する本が気になります。先日、仕事と仕事の間のちょっとした空き時間に立ち寄った書店で、「理性の限界」という新書(講談社現代新書 著者:高橋昌一郎氏)が目にとまりました。帯紙には「囚人のジレンマから神の非存在論まで」との難しそうな言葉が並んでいましたが、頁をパラパラめくると、架空の人物(「大学生」、「会社員」、「科学主義者」、「論理学者」、「数理経済学者」などが登場します)が議論をする形式で、専門用語を使わずに難解な概念を説明するというコンセプトらしく、購入することにしました。

著者は、「あくまで楽しみながら考えるという趣旨を優先したつもりである。」と述べていますが、「アロウの不可能性定理」、「ハイゼンベルグの不確定性原理」、「ゲーデルの不完全性定理」などの難しい話を、普通の人が興味を持つように話を作り込む作業はさぞかし大変なことであっただろうと想像されます。

大変面白い本でした。

日本聖公会高崎聖オーガスチン教会聖堂

Photo No.4

撮影場所:日本聖公会高崎聖オーガスチン教会聖堂

撮影日 :2011.5.17

撮影者 :Y.T.

本日、高崎市に出張したところ、昭和4年に建築された教会が市内に保存されていることが分かり、その教会を訪ねてみることにしました。これはその時に撮影した写真です。曇り空なため、少し寂しそうな雰囲気になってしまいました。

鏡岩水源地旧エンジン室・旧ポンプ室

Photo No.3

撮影場所:鏡岩水源地旧エンジン室・旧ポンプ室

撮影日 :2011.5.13

撮影者 :Y.T.

本日、中部地方に出張したため、以前から心を引かれていた岐阜市の「鏡岩水源地旧エンジン室・旧ポンプ室」を訪ねました。これはその時に撮影した写真です。キュートなエンジン室とポンプ室でした。

当面の株主総会の運営に関するガイドライン

平成23年4月28日、経済産業省から「当面の株主総会の運営に関するガイドライン」が公表されました。東北地方太平洋沖地震により引き起こされた東日本大震災の影響が強く残る中で、適切に株主総会を行うべく、会社法学者、弁護士、株主総会実務担当者及び機関投資家等の関係者が検討し、その検討結果を取り纏めたものです。①招集通知等の早期ウェブ掲載、②電子化による株主向け印刷物の削減、③招集通知発送後の招集事項の変更、④定時株主総会の運営、⑤定時株主総会の開催時期、という5つのテーマを掲げ、そこで問題となりうるケースについて推奨する行動指針を示しています。詳しくは経済産業省のWebサイトをご参照下さい。

贅沢な悩み

Voice No.1

私は、仕事を通じて、様々な悩みを抱える方とお会いしてきましたが、時として一般の方からすれば、そのようなことで悩む必要はないのでは、と思うようなことで苦しまれる方がいらっしゃいます。経済的に豊かな方が多く、所謂「贅沢な悩み」ですが、当人にとっては大変な苦しみです。

「贅沢な悩みですね」というフレーズをよく耳にしますが、このフレーズが使われる場合、状況的にもっと大変な人達がいるのだから、悩む必要はないですよ又は悩むなんておかしいですよ、という気持が使う人にはあります。

しかし、「贅沢な悩み」は、贅沢でない「普通の悩み」と同じように深刻であり、それどころか「普通の悩み」より深刻である場合が多いというのが私の実感です。

悩みの原因の多くは、あるべき自分と現実の自分の(主観的な)ギャップであり、その深刻さは、そのギャップが大きいと(当人が)感じるか否かで決まるところがあるため、第三者からみて贅沢か否かということはあまり重要ではないからです。

そして「贅沢な悩み」は、既にそれなりのものを手に入れた方の心の問題であるだけに、より深刻な悩みに至ります。例としてあまり適切ではありませんが、世界で1番になることを熱望し、しかしどうしても1番に手の届かない世界で2番、3番の方の悩みが深刻であることは容易に想像できるところです。日本で100番の方が(日本で100番は大変立派ですが)、世界で2番、3番だから十分でしょう、という言葉を投げかけても、彼ら(彼女ら)の慰めにはならないでしょう。

人も羨む方も悩んでいます。自分だけが悩んで、苦しんでいる訳ではないのです。

レインボーストーブ RB−2

東北地方太平洋沖地震の二日後に実家に戻ったところ、計画停電の話が持ち上がったため、両親が停電時の暖房器具として物置の隅から石油ストーブを取り出してきました。これはその時に携帯電話にて撮影した写真です。

私が学生時代に使用していたものを大事に保管していたようで、灯油を注ぎ、電池を取り替えると無事点火しました。この石油ストーブは、私のお気に入りですが、後日、インターネット上を検索すると、生産中止後も長く愛され続けている石油ストーブであることが判り、少し嬉しくなりました。

3月の話を今頃・・・とお叱りを受けそうですが、お許し下さい。

マンションの修繕積立金に関するガイドライン

平成23年4月18日、国土交通省から「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」が公表されました。「新築マンションの購入予定者に対し、修繕積立金に関する基本的な知識や修繕積立金の額の目安を示(す)」もので、分かり易い内容で実践的です。但し、「分譲事業者から提示された購入予定のマンションの修繕積立金の額が、この幅に収まっていないからといって、その水準が直ちに不適切であると判断されることになるわけでは(ない)」という点には留意する必要があります。

震災に関連する法務省からのお知らせ

東北地方太平洋沖地震に関連して法務省から「お知らせ」がありました。主なものは次のとおりです(詳しくは法務省のWebサイトをご参照下さい)。

・  定時株主総会の開催時期について

東北地方太平洋沖地震の影響により、当初予定した時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じている場合には、そのような状況が解消され、開催が可能となった時点で定時株主総会を開催することとすれば、会社法第296条第1項に違反することにはならないとのこと。

・  滅失した戸籍の再製について

震災により戸籍の正本が滅失した市町村においても、管轄法務局において,戸籍の副本や届書が保存されているため、戸籍の再製が可能であること。また戸籍が再製されるまで、戸籍の副本(電子データ)に基づき、「戸籍の副本に係る証明書」(行政証明)を発行することができること。

・  災害復旧における境界標識の保存について

復旧作業に際して、土地の境界を示す境界標(コンクリート杭、金属鋲等)が埋設されていないかどうかに注意し、堀、石垣の基礎部分等の境界を特定するために役立ものを可能な限り保存するよう留意して欲しいとのこと。

敷引特約

敷引特約が消費者契約法10条により無効であるか否かについて、昨日(平成23年3月24日)、最高裁から興味深い判断が下されました。最高裁第一小法廷は、「消費者契約である居住用建物の賃貸借契約に付された敷引特約は,当該建物に生ずる通常損耗等の補修費用として通常想定される額,賃料の額,礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らし,敷引金の額が高額に過ぎると評価すべきものである場合には,当該賃料が近傍同種の建物の賃料相場に比して大幅に低額であるなど特段の事情のない限り,信義則に反して消費者である賃借人の利益を一方的に害するものであって,消費者契約法10条により無効となると解するのが相当である。」と説示した上で、個別の事件については、「本件敷引金の額が高額に過ぎると評価することはできず,本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない。」との結論を導きました。大雑把にまとめると、敷引金の額が高額に過ぎなければ、敷引特約は有効ということです。

この判決の評価と他の裁判(例えば更新料に関する訴訟)との関係(影響)等について、考えるところはありますが、ここでは判決内容の簡潔な紹介にとどめることと致します。

東北地方太平洋沖地震

この度の東北地方太平洋沖地震によって、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災された地域の復旧、復興と安心して暮らせる日々が一日も早く訪れることを切に願います。

ARCHIVE