芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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TOPICS

ウォーカブル

昨年12月26日、国土交通省から、国土審議会土地政策分科会企画部会における審議結果を踏まえ、土地基本法の見直しと人口減少社会に対応した「新たな総合的土地政策」の策定に向けた「中間とりまとめ」が公表されました。この「中間とりまとめ」は、所有者不明土地の問題等への提言が盛り込まれるなど概ね予想された内容ですが、その中に最近良く目にする「ウォーカブル都市」という言葉を見つけました。

この「ウォーカブル都市」への言及は、「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を形成することにより、内外の多様な人材・関係人口の出会い・交流を通じたイノベーションの創出や人間中心の豊かな生活を実現する都市を構築していくべきという「都市の多様性とイノベーションの創出に関する懇談会」が示した考え方を踏まえたものです。「居心地が良く歩きたくなるまちなか」が増えることは喜ばしいことですが、急ぎ過ぎたり、殊更効果を追求するなどして、どこか似通った「まちなか」にならないことを願っています。上記懇談会では、まちづくりに取り組む際の視点として10の構成要素を掲げていますが、そのうちの「場所性や界隈に根差し、本物のオンリーワンが生まれる。」という構成要素の箇所において、古い建物や歴史を感じさせる建物の持つ重要性が指摘されています。

書と字について

一昔前に比べれば、自らの手で字を書く場面は相当減ったものの、それでも自筆が求められることは少なからずあります。その度に、この乱れた字をなんとかしなければ、と思うのですが、昨年1年間は乱れた「字」と向き合うことが多い年となりました。

書といえば、「とめはねっ!」という書道を題材とした漫画に接したのも昨年でした。「書道」とは距離のある私のような者を飽きさせることなく、最後まで読ませるのですから、本当に立派なものです。また「とめはねっ!」との出会いとは関係ありませんが、東京国立博物館にて開催されていた特別展「顔真卿 王義之を超えた名筆」を雨の降る日の朝一番に見に行きました。この特別展では、故宮博物院秘蔵の「祭姪文稿」が展示されることから、報道されていたとおり、来場者の多くは中国人の方でした。時間をかけてつくりあげられたものは、時間をかけて鑑賞すべきと思っておりますが、残念ながら時計を気にしながらの鑑賞となりました。乱れた字を目にする時間は、短くとも一向に構わないのですが。

忘年会でのこと

昨年末、忘年会に出席する度に「WEBの更新がありませんね。」というご指摘をいただきました。何を言っても言い訳となるため、適当に受け流すほかありませんでしたが、つまらないことを書くのも骨の折れる作業です。やらなければならないこと、やりたいことがそれなりにある中で、今年は、ほんの少し「更新」という作業の優先順位を上げたいと考えています。

常盤台写真場

Photo No36

撮影場所:常盤台写真場

撮影日 :2018.春

撮影者 :Y.T.

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江戸東京たてもの園に復元・展示されている建物です。もともとは住宅地内に建てられた写真館のようですが、路面電車とも似合いそうです。園内には前川國男邸もあり、建築家を目指していそうな学生とよくすれ違いました。

悪について

エーリッヒ・フロムの「悪について」(ちくま学芸文庫 渡会圭子訳)の新訳版をようやくゴールデンウイークの前半に読み通すことができました。読みやすい翻訳でしたが、頭にすっと入らない部分があり、長く親しまれたとされる鈴木重吉氏の翻訳ではどのように表現されているのか気になりました。アマゾンで検索すると、中古品として1点出品されていたため、早速取り寄せることにしました。価格は1円でした。随分便利や世の中になったものです。

ちなみに気になった箇所は、男女の許されない情事を引き合いに出しながら、いつの時点で思いとどまる自由があったかを論じた後に述べる次の一節です。

 

【渡会圭子訳】

「一般論として語るなら、ほとんどの人が人生で失敗するのは、まだ理性に従った行動をする自由があると気づかないから、そしてその選択に気づくときは、決意するには遅すぎるからだ。」

 

【鈴木重吉訳】

「多くの人が自己の生涯で失敗する理由のひとつは、かれらが理性に則って行動する自由をまだ有する時点そのものに気づかないからであり、また決心するにはおそい時点になってはじめて、その選択に気づくからにほかならないと、一般に言えるのである。」

 

人生での失敗を少しでも減らしたいものです。

月日と分

昨年の夏頃から慌ただしくなり、矢のような速さで時間が過ぎ去りました。今年も既に3分の1が終わり、月日の経つはやさに戸惑うばかりです。ところで、大分前のことですが、とある先に電話をしたところ、電話口に出られた方から、担当者は離席しており、午後2時25分に戻る予定であると告げられました。折り返しの電話が欲しい旨を伝えましたが、その後、人は、どの程度の幅もった時間管理のもとであればストレスなく働けるのかを考えることになりました。きりのよい午後2時30分ではなく、午後2時25分という時刻が組織内で共有されていたからです。仮に5分単位ということであれば、古い人間としては少々大変という気持になった次第です。

新年のご挨拶

新春を迎え、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。

本年が、皆様にとって、平穏無事な一年になることを祈念しております。

新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法

平成28年9月に公表されました「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会報告書」では、調査結果の報告に加え、浮き彫りになった課題についてどう対応すべきかの方向性が示されました。例えば、新耐震基準導入以降の木造建築物の中でも、(柱とはり等の)接合部の仕様等が明確化された2000年以降の倒壊率が低いことを踏まえ、明確化以前のもので、接合部の仕様等が現行の仕様等に適合していない木造建築物については、被害の抑制に向けた取り組みが必要であるとの方向性を打ち出していました。そして、国土交通省は、この報告内容を受けて、リフォーム等の機会において既存建物の接合部の状況を確認することを推奨することにし、一般財団法人日本建築防災協会に対し、効率的な確認方法の検討を依頼していたところ、平成29年5月16日、同協会によって、「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法(新耐震木造住宅検証法)」が公開されました。

この検証法の対象は、在来軸組構法の木造住宅(基礎がコンクリート造であるもの)で、1981年6月1日から2000年5月31日までに建築された、平家建てまたは2階建てのものに限られますが、リフォーム業者としては、接合部の状況次第では、(これまで以上に)適切な営業と提案によりビジネスを広げることができるかもしれません。「適切な」という点が重要ですが。

浦賀ドック

Photo No.35

撮影場所:浦賀ドック

撮影日 :2015.9.11

撮影者 :Y.T.

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Photo No.34に続いて少し前の写真です。仕事の関係で浦賀に出向いた際に撮影しました。周辺は、平日にもかかわらず観光客で賑わっていましたが、仮に、人気(ひとけ)がなければ、異空間です。直前のTOPICS「カフカ短篇集」を受けて、カフカとつながりそうな写真を選んだ次第です。

カフカ短篇集

カフカ短篇集(岩波文庫)は、「判決」や「流刑地にて」などの法律と結びつく題名の短編が収められていることもあって、読まなければ、と思っていた本の一つです。作品を理解しようという身の丈に合わない試みは初めから放棄し、単純にストーリーを追うだけでしたが、興味深く読み切ることができました。その面白さは、比喩的に言えば、音がなくなる又は歪むような感覚にあるように思われ、ワクワク、ハラハラ、ドキドキなどのオノマトペでは上手く伝えることができない、というのが個人的な感想です。

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