芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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CATEGORY :閑 話

ジャスト・カルチャー

原題「Just Culture」(原著者:Sidney Dekker)、邦題「ヒューマンエラーは裁けるか」(東京大学出版会)をようやく読み通しました。本に挟まれたレシートの日付は「2010/01/02」ですので、購入してから3年ほど積ん読状態にあったわけです。

著者は、ヒューマンエラーが犯罪とみなされる傾向に警鐘を鳴らし、事故に対する司法の介入の問題点を指摘します。法曹関係者にとっては耳の痛い話が多いのですが、考えさせられる内容で、買って損のない本と言えます。特に印象に残ったのは、私達が客観的で中立的なものの見方(の提供)を司法システムに期待していることに対する著者の次の指摘です。即ち、「たとえ目隠しをした正義の女神のように、客観的で、公平無私で、先入観なく中立の立場で考えることができると思っていても、客観的な視点から話をすることは不可能である。」とし、続けて「世界を客観的に見ているというのなら、いったいどこから見ていると言うのか? 客観的な視点とは『存在しない場所からの視点』なのである。そして、そんなものはない。」と。

新年のご挨拶

新春を迎え、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。本年が、皆様にとって、充実した一年となることを祈念しております。

全国都市緑化フェアと緑被率

先週の話ですが、東京地裁から内幸町の駅に向かうために日比谷公園を歩いていると、全国都市緑化フェアが開催されていました。歩道の脇には、ガーデンコンテストの出典作品が展示され、その作品の一つが下の写真の庭です。

緑化フェアに触発されたわけではありませんが、仕事を終え、自宅に戻ると東京23区の緑被率が気になり、早速インターネットで検索すると、調査方法と調査年度が異なるため単純比較はできないものの、概ね西高東低の傾向にあることがわかりました。緑被率の高い区は、20%を超えますが、低い区では10%を下回っています。我が大田区では、(仮称)大田区みどりの条例(素案)に対する大田区区民意見公募手続(パブリックコメント)を実施したばかりで、区民からの「緑被率の目標値は?」という質問に対し、大田区は、「グリーンプランおおた(大田区緑の基本計画)では、基準の2009年の20.47%から2030年に緑被率21.5%を目標としています。区民1人が1平方メートル緑をつくれば、緑被率は1%上昇します。」と回答しています。それにしても、20年で1%UPはないだろう、もっとできるのではないか、なんとかして欲しい、と思うのは私一人ではないはずです。

風景の思想

表題に惹かれ、「風景の思想」という単行本(学芸出版社)を購入しました。帯紙に「日本人は風景をどのように見てきたのか。これから風景とどのように関わりあっていけばよいのか。哲学から土木まで、多様な専門家が、風景との関わりをいかに主体的に回復していくかを論じた意欲作」とあるように、景観、都市計画、建築学にとどまらず、美術史、生態学の専門家などが風景について論じています。建築・不動産に繋がる話が多く、いずれも興味深いものでしたが、最も印象に残ったのは、宇根豊氏の「農と風景」(副題:風景としての百姓仕事の発見)でした。

平和茶会(金閣寺)

本日、鹿苑寺(金閣寺)にて開催されています「平和茶会」に参加しました。法要、薄茶、濃茶、点心と続き、あっという間でしたが、有意義な時間を過ごすことができました。昨年同様、参加費の一部とオークションの売上は、東日本大震災の復興や難民の医療支援のために寄付されます。

被災地の復興と都市デザイン

国土交通省から、平成24年5月18日、集団移転促進事業計画作成マニュアルが発表され、一歩一歩ですが復興に向けた環境整備が進められているように見えます。ところで、被災地の復興に関しては、既に「東日本大震災の被災地における市街地整備事業の運用について(ガイダンス)」が国土交通省から公表され、その中で「復興まちづくりにおける景観・都市空間形成の基本的考え方」(中間とりまとめ)が示されています。この基本的考え方は、「より住みやすく親しみやすい故郷として復興させるために」、今後の復興まちづくりにあたっての都市デザイン面からの配慮事項をとりまとめたもので、興味深い内容です。現実のまちづくりは、厳しい状況が予想されますが、そこに記された提言が一つでも多く実現されることを願ってやみません。

地域再生

帯紙の「消滅しそうな集落などいったいどこにあるのか?」という刺激的なフレーズに惹かれ、「限界集落の真実」という新書(ちくま新書 著者:山下祐介氏)を購入しました。賛同できない点が少なからずありますが、著者の熱い想いが伝わり、かえって切ない気持になりました。過疎地域に関連する記述が多い中で、「要するに、本当に地域再生が難しいのは大都市圏においてなのだ。」という指摘が印象に残りました。

嬉しいニュース

先日、第84回選抜高校野球大会の出場校が決定しましたが、母校である高崎高校が一般選考枠で選ばれました。選手達が持てる力の全てを出し切れることを願っています。山際淳司さん、再び甲子園です。

亀甲竹

とあるところで亀甲竹(自生していたものを取り寄せたとのことです)の飾り付けを見ることができました。亀甲竹とは、孟宗竹の突然変異で、亀の甲羅のように節が斜めになった竹のことです。珍重されているそうで、年始から縁起が良いのかもしれません。

新年の挨拶

謹賀新年

昨年末にある方から写真の床飾りをいただき、どことなくユーモラスな辰(龍)の姿が気に入り、部屋に飾っております。新年の招福を願って創られた置物とのことで、本年が、皆様にとっても、それぞれ納得できる素晴らしい一年となることを祈念しております。

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