芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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マンションの今とその先(その5)

国土交通省が設置した「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」は第6回を数えることとなり、標準管理規約等の具体的な改正案を意識する段階に入りました。ただ、外部専門家の活用という大きな問題についての基本的なビジョンはよく分かりません。公表されている資料によれば、日本では、外部専門家が管理組合の外から助言という形で関与するのが標準的であるのに対し、英国、米国、フランス、イタリアでは、外部専門家が管理組合の組織内で(例えば、理事・監事・管理者等に就任して)一定の役割を果たしているスタイルと整理されています。日本が中長期的にどの国の制度を参考にして、どのような管理方式を目指すかは今後の課題となりそうです。

良し悪し又はその必要性の有無は別にして、外部専門家による理事・監事・管理者等への就任という方向性は、日本でも結構受け入れられるのではないかと想像しています。利害が渦巻く中で、議論し、物事を決めることは楽な作業ではありません。マンションの今とその先(その4)で述べた「素人でもマンションの管理ができるのか」という議論とは別に(即ち、素人でもマンションの管理ができるとしても)、誰しもできる限りストレスのかかることは避けたいという気持がある以上、外部専門家による理事・監事・管理者への就任という潜在的なニーズは高いと考えます。外部専門家の活用の副作用として、区分所有者の更なる株主化(又は投資主化)が進むかもしれません。

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