芝大門法律事務所 所属弁護士 田村佳弘

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マンションの今とその先(その7)

久しぶりのtopicsの更新です。春先から時間に追われ、このままでは店ざらし状態で年末に突入しそうなので、気持ちを切り替えて、更新することにしました。

お伝えしたいことがなかったわけではなく、例えば、8月29日の新聞報道にもあるように、国土交通省と法務省との間で老朽化したマンションの売却を促す法整備の協議が開始され、マンション1棟丸ごとの売却や解体を容易にするための具体的な取り組みが始まるなどの大きな動きがありました。ようやく「マンションの今とその先」で述べてきた方向へと動き始めたわけです。

なお、法務省は、老朽化したマンションに関する法制度上の問題点等を検討するため、諸外国における法制度の運用状況、裁判例等について調査していたとろ、今春、その調査結果を公表しました。同省のWebサイト上に「老朽化した区分所有建物の建替え等に関する諸外国の区分所有法制及びその運用状況等に関する調査研究報告書」が掲示されていますので、ご参照下さい。

この調査報告書では、「区分所有建物の持続的な維持」を基本的な考え方と位置付け、「老朽区分所有建物に対する措置として、アメリカ法やイギリス法が有する解消制度や、フランス法の荒廃区分所有建物制度のわが国への導入について」は「直ちにこれらを喫緊の問題として検討する必要はないものと思われる。」としており、法改正には慎重な言い回しも見受けられます。他方、「昭和 58 年の区分所有法の改正の際に《将来のことを考えて》 建替え制度を創設したように、解消制度および行政法と連携した荒廃区分所有建物制度についての検討をも視野に入れておくことは必要であると思われる。」とも述べておりますので、法務省の姿勢次第では、今後の法改正に向けた動きが加速することも減速することも両方ありうると考えています。

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